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セレクトセール2017にて、イルーシヴウェーヴの2017が史上2番目の高額の5億8000万円で落札

 11日、日本最大のサラブレッド市場「セレクトセール」(主催・JRHA日本競走馬協会)で、当歳馬のセールが行われている。

 上場番号362、ディープインパクト産駒の牡馬「イルーシヴウェーヴの2017」が5億8000万円で落札された。1億円からのスタートだった。

 本馬の母は仏1000ギニーなど重賞4勝の名牝。落札者は近藤利一氏。

近藤利一氏は最後まで譲らなかった。「興奮して値段が分からなくなったよ。でも意地がある」。昨年、1つ上の兄を2億8000万円で手にしていた里見治氏を5億8000万円で振り切った。

 

 「この馬だけは諦めないでほしいと言われたから応えたよ」(近藤氏)。ほれ込んでいたのは、昨年のダービーをマカヒキで制した友道師だった。下見でその素質を目の当たりにしていた師は「凄く動きがスムーズ。頭が賢そうだし、ジョッキーも乗りやすいと思う。いかにも折り合えそう」と興奮した口調。愛国生まれの母イルーシヴウェーヴは、仏1000ギニーを制したG1馬。各陣営が注目する良血だった。

 当セールが始まった98年、当歳馬を最高価格(1億9000万円のアドマイヤセレクト)で落としたのが同オーナーだった。その後も07年のアドマイヤハーレ(3億円、1勝)など高額馬を購入し続けてきたが、近年はG1勝ちから遠ざかっていた。潮目が変わったのが、5月のヴィクトリアマイル。アドマイヤリードで9年ぶりにG1を制覇した。反撃ののろしに続き、自己最高、セール史上2番目の高額落札へ。近藤氏は「スターになる馬には育ちが必要。過去にも高い馬を買ってきたけど、この馬は違うでしょう」と満足そうに笑った。

下見で目をつけていた近藤氏は「オーラがあって、どんなことがあっても欲しいと思っていた。相手は絞っていたが、誰であろうと欲しいと。5億か6億くらいと思っていたけど、興奮して金額が分からなくなったのが正直なところ」と、芝マイルG1の仏1000ギニーを制した名牝の子を無事に落札して、胸をなで下ろした。

 競馬の難しさを知る近藤オーナーは冷静さを持ちつつ、期待を寄せた。「スターになってもらわないと困るし、スターになる要素がある。楽しみだけど、不安もある。ダービーを取るとか、凱旋門賞を取るとか大げさなことは今、考えていない。無事にデビューを迎えてほしい」。

 父は種牡馬界の不動のエース。父サンデーサイレンスに劣らぬ傑出した能力を持ち、2012年以降リーディングサイアーの座にある。「13年連続」という父の記録に迫ることは確実だろう。ワンランク上の瞬発力を武器とし、JRAのGⅠ勝利数は7世代で「39」という驚異的な数字。また、海外でも仏1000ギニーをはじめG1を7勝しており、能力は優に国際レベルに達している。

 母は愛国産。仏1000ギニー(G1・芝1600m)、クインシー賞(仏G3・芝1600m)など4つの重賞を含めて、14戦6勝という成績を残した。父はミスタープロスペクターにさかのぼり、母の父レインボークエストはブラッシンググルーム系。このふたつの血を母方に持つディープインパクト産駒にはヴィルシーナ、ヴィブロス、ミッキークイーン、アンビシャスといった大物がいる。

 母の父は米国産。モルニー賞(仏G1・芝1200m)を制して、仏2歳牡馬チャンピオンに選ばれた。引退後は種牡馬となり、現在はニュージーランドに繋養されている。仕上がりの早いスピードタイプで、ニュージーランドでは多数の重賞勝ち馬を送り出している。その父イルーシヴクオリティは芝向きのスピードタイプで、芝8ハロン1分31秒63という世界レコードを持っている。

 

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