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POG歴約20年

リアアメリアのデビュー戦回顧

牝馬第3位:リアアメリア

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◆デビュー戦までの調教過程

5月15日の坂路。前方でオークスに向けた最終追い切りを行うダノンファンタジーが走っていたが、見た目の動きはこちらの方が良く見えたくらい。普段はチャカついて煩く見えるところもあるが、いざ走らせると真面目な気質がしっかりと伝わってくる。

2週前に坂路で54秒0-12秒5(馬なり)。

22日の1週前追い切りは川田を背に栗東芝コースでキャリー(3歳未勝利)と併せ馬。0秒8追走する形から、6F83秒5-38秒0-11秒8を馬なりでマーク。

29日の最終追い切りも川田を背に栗東CWコースでダンサリーノ(2歳新馬)と併せ馬。6F82秒3-5F65秒4-4F50秒1-3F37秒0-1F11秒5という古馬顔負けの好時計を馬なりでマークしたように、この時期の2歳馬としては完成度がずば抜けている。「真面目に走るし、操縦性も高い」と猿橋助手。

栗東のCWコースで5ハロン66秒を2歳のこの時期に馬なりで楽に切るという時計は、ゆくゆくは重賞でも勝ち負け出来るレベル。この時点で実力は計り知れるし、事実単勝オッズは1.2倍であったのも無理はない。また新馬勝ちすることはほぼ予想できたし、あとは出遅れなどのアクシデントや道中における予期せぬ事態をどうクリアするか?が焦点だった。

 

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◆新馬戦のレース内容について

川田将雅「普通に出してしまうと逃げることになりそうだったので、スタートはややゆっくり出しました。走りたい気持ちをコントロールしながら追走して、直線では調教ほど追わなくても勝つことができました」

様々なメディアで「わざと出遅れた」とか「意識的に出遅れさせた」などという報道がされていたが、真実はゆっくり出していったということ。加えてパトロールビデオを良く見れば分かるが、ゲート内での駐立が上手くいかず横を向いた時点でスタートが切られた。よって、意図的に出遅れをしたのではない。

スタートして最後方からの競馬となったが、7頭立ての少頭数でもありペースもべらぼうに早いこともないので、慌てずにじっくりと外を回って追い上げる。ここで、1つ目のポイント。レースを見ていたファンは「引っ掛かっていた」と書き込みをしていたが、実際には他馬の後ろに入った際に驚いていた。これを見た川田が他馬の後ろには危険が無いということを教えながら、3角から4角までにわざと外から内へ馬を入れている。

中内田調教師「見ての通り、強い内容です。幼さを残し、粗削りな部分だらけなので、そのあたりを磨いていけたら。大きいところを狙っていきたい素材で、上手に成長させてあげたいです。ひと息入れて次は秋以降になると思います」

道中おっかなびっくりで運び、最後の直線でも左手前で内ラチを頼って走っていた。今日のところは、持っている能力だけであれだけのパフォーマンスをしてみせたということ。課題はまだまだ沢山あるものの、一つ一つゆっくり教えていけばクラシックまで時間は十分ある。

昨年の同きゅう舎僚馬:ダノンファンタジーはファンタジーSからジュブナイルフィリーズ、チューリップ賞から本番だったが、個人的には1度初めての左回りや東への輸送などを兼ねて府中のコースを経験させるうえで、昨年の桜花賞馬:グランアレグリアが勝ったサウジアラビアロイヤルカップか、牝馬限定のアルテミスステークスを使って暮れの阪神というのがベストに思える。

 

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◆1年ぶりのPOG参加

いろいろあって昨年は残念ながらPOGをお休みしてしまったが、1昨年の結果を改めて振り返ってみると、デビュー戦での惜敗が非常に多かった。加えた負けたかもしくは先着された相手が悪かったのも特徴だった。

 

まずは後の日本ダービー馬:ワグネリアンに敗れたヘンリーバローズ皐月賞馬:エポカドーロにはハナ差先着したものの、秋の京都開幕週の馬場でまんまと逃げこまれたサトノエターナル3歳馬ながら初の古馬相手のマイルチャンピオンシップを勝ったステルヴィオに敗れたサトノオンリーワン朝日杯フューチュリティステークスを勝ち、唯一の敗戦は日本ダービーのみというダノンプレミアムに敗れたシエラネバダ夏の札幌で楽に勝つだろうと言われていたリシュブールや、秋の京都でダノンフォーチュンに出し抜けを食ったサートゥルナーリアの姉:シーリア府中ではルメール騎手を配して万端かと思われたエルディアマンテなどなど。

 

勝ちあがってからも2勝目が遠かったフラットレーアドマイヤキングシエラネバダエリスライト。全ての馬たちにとって言えるのはデビュー戦にせよ2勝目を狙ったレースでは常に同世代のレベルが高いライバルたちも狙っていたレースを目標にした結果、実力不足で敗れたということ。有力馬が集まるレースを使うのは華やかな勝利を挙げる1頭が存在する同時に、それを引き立てるその他大勢もまたいるということ。

リアアメリアのこのデビュー戦にはたまたまそういったライバルが参加していなかったようですが、これからデビューをしていく馬たちにはまずは無事に。そしてくれぐれも1昨年のような引き立て役にならないようにと、願うばかりです。