POG Again

POG歴約20年

宿敵ジュエラーとの因縁対決で輝いた宝石

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シンハライト

父ディープインパクト、母シンハリーズ、母の父シングスピール

生産:ノーザンファーム、馬主:キャロットファーム 厩舎:栗 石坂正 2013/4/11

馬名の意味・由来:母シンハリーズ(シンハラ人=スリランカの多数民族でライオン:獅子の子孫という意味 英語: Sinhalese)の子はスリランカ関連の名がつく。アダムスピーク(同国にある聖頂)、リラヴァティ(同国史に名を残す女王)、アダムスブリッジ(インドとスリランカ・マンナール島の間にある岩礁が連なる浅瀬)。シンハライトは鉱物の一種。シンハリ石ともいい、最初にスリランカで発見されたためそう名付けられた。Sinhala(セイロン島の別名)+ite(鉱物を示す接尾辞)。輝かしい成績をおさめられるように。

 

10月10日京都競馬場の新馬戦で池添を背にデビュー。ばらついたスタートから道中3,4番手に位置を取り、4コーナーを曲がって直線に入ると、3番手付近に付けていたシンハライトが前を行く2頭を捉えて先頭へと躍り出て、馬群から抜けだしたシンハライトを3番人気のオウケンビリーヴが猛追するも、シンハライトの脚は最後まで衰えず。食い下がるオウケンビリーヴを振り切って1着でゴールし、1番人気に応えた。

年明け緒戦は1月17日の紅梅ステークス。直線一気の豪快な末脚を繰り出して、2着馬とのたたき合いを鼻差制して快勝した。鞍上の池添騎手は「乗り味が抜群。これだけフォームの柔らかい馬は久しぶり。距離ももう少しあった方がいい。新馬戦よりスムーズにレースができなかったし、状態もまだ上がってくる途中だった」と良化途上での勝利を強調した。

いったん放牧に出された後、3月5日の第23回チューリップ賞は2番人気に支持され、中団後方でレースを進めた。直線では内の1番人気ジュエラーと並んで各馬を交わし、最後は2頭の際どい争いとなったが、これをハナ差制してデビュー3連勝となった。着差はわずかだったが、荻野斉助手は「どこがゴールなのか、この馬自身が分かっている感じ。誰に教えてもらったんだろうね。稽古でも併せ馬で負けたことがない」と、勝負強さをアピールした。「紅梅ステークス後もケロッとしていたし、ダメージは全くなかった。カイ食いがいいし、負荷をかけながらでも体は前走と同じくらい。自分で体をつくれるんだろうね。古馬ならまだしも、この時期にそういうのができるのが凄い。先週、追い切ってから気持ちが入っているし、賢い馬で競馬が近いのを分かっている。入厩してすぐに、これはモノが違うと思った。走っていると着地している時間が少なくて、上じゃなく前に跳ぶような感じ。そのあたりはお父さん似なのかな。」と、同助手は語った。

4月10日の第76回桜花賞に2番人気で出走、直線早めに抜け出すもゴール前でジュエラーにかわされ2着に敗れる。最後は首の上げ下げ。残り100メートルで立った先頭を守りきれなかった。本来はもう少し前に付けたかったのかスタートしてすぐに鞍上の池添騎手が押していたようにも見えた。競馬自体は道中は9番手前後を追走。折り合いもついており直線も外を回ってあっという間に前の馬を飲み込んだ。この馬も切れは相当なものであったし、前走のチューリップ賞と同じく最後はジュエラーとの叩き合い。着順は2着だったが、負けた原因など無いに等しい2着であった。シンハライトが100%の競馬をしたなら、勝ったジュエラーはその上の150%の競馬をしただけにすぎない。主戦の池添騎手は「ゴールのときはどっちかわからなかった。なんとか勝ってくれと思ったけど。悔しいです・・・。」と言うのがやっとだった。04年ダンスインザムード以来の無敗女王の誕生は夢とついえた。

5月22日の第77回優駿牝馬は、ジュエラーの骨折による回避もあり1番人気に推された。スタートの1歩目が遅く、予定していたより後ろの位置取りからの競馬になり、直線を向いたときは後方から4、5番手で馬群に突っ込む形になった。「直線はどこへ出そうか考えたけど、ロスのない競馬をしてほしいという指示もあったので、外には出さず馬群の中へ。前にいた2頭の間へ突っ込んで進路を塞ぐ形になったけど、グッと伸びてくれた(レース後、斜行による進路妨害で2日間の騎乗停止処分が課された)。」先に抜け出したビッシュチェッキーノの間から豪快に伸びると、あっという間に2頭をとらえてゴール。あらためて高いパフォーマンスを見せつけた。「桜花賞で悔しい2着。悔しい思いをしたので、少しは晴らせた思いです。初の長距離輸送もしっかりはね返してくれたし、すごい強い馬。」と述べ、石坂調教師は「最後に底力で見事に差し切ってくれた。思ったより後ろの位置だったが、折り合いがついていたので来れるんじゃないかと。でも4コーナーでゴチャついて、馬がどこにいるか分からなかった。8~10番手にいたので、これはないなあと思ったけど、あっという間に抜けてきて。これが底力。」と話した。

4か月の休養を経て、秋初戦の第34回関西TVローズSに出走。桜花賞馬のジュエラーとの再対決に注目が集まった。レースでは道中中団という、前残りの重馬場で想定外の後ろの位置取り。それでも、最後の直線は他馬とは異次元の上がり33秒7の脚を繰り出し、逃げたクロコスミアを鼻差差し切り、ジュエラーを退け、ラスト1冠を目指す秋華賞へはずみをつけた。池添騎手は「3コーナーで取りたかったポジションを他の馬に取られて、1列後ろになった。直線は少しもたもたしたけど、エンジンがかかってからはいい反応。坂を上ったくらいでかわせると思った。強かったです。」と愛馬の底力を再認識した。石坂調教師も「ひやひやした。かわすところがゴールだったから負けたんじゃないかと思った。」と振り返る。それでも内容が濃いことに変わりない。今回はオークス以来の久々のレース。オークスの時は輸送もあったし、ぎりぎりだった。プラス14キロはリフレッシュして今回の体に戻った分と成長分。本番が楽しみになった。」と力強く話した。

その後、秋華賞に向けて調整されていたが、10月5日に左前浅屈腱炎が判明、9ヶ月以上の休養を要する見込みとなり、秋華賞への出走を断念した。北海道安平町のノーザンファームで経過をみていたが、良化がみられず、11月16日、所属するキャロットクラブから引退が発表され、翌11月17日付で競走馬登録を抹消された。引退後はノーザンファームで繁殖牝馬となった。

 


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