POG Again

POG歴約20年

激しい気性の改善という課題に苛まれた王

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リオンディーズ

父キングカメハメハ、母シーザリオ、母の父スペシャルウィーク

生産:ノーザンファーム、馬主:キャロットファーム 厩舎:栗 角居勝彦 2013/1/29

馬名の意味・由来:Leontes(英語)ウィリアム・シェイクスピアの喜劇「冬物語」に登場するシチリア王の名前で、父馬と母馬のそれぞれの名前から連想

 

11月22日の京都競馬場芝2000m新馬戦でデビュー、終始かかり気味ながらも4コーナーから抜群の伸びを見せ、見事デビュー戦を勝利で飾った。続く2戦目はデビュー戦の2000mから距離を一気に1600mに短縮し、G1の第67回朝日フューチュリティSに出走。前走G2を圧勝し、武豊の平地G1完全制覇と共に注目されていたエアスピネルに続く2番人気に推される中、直線では先に抜けだしたエアスピネルを4コーナー最後方から追い込んで優勝。奇しくもお互いの母(シーザリオエアメサイア。因みにリオンディーズとエアスピネルは同じ父(キングカメハメハ)を持つ)が戦った10年前の優駿牝馬(オークス)と同じ結果となった。

レース後、ミルコ・デムーロ騎手は「とにかくいい馬で、パワー豊かな馬です。トビが大きく、スピードもあります。2000mの新馬戦に乗った岩田騎手からはとても強い馬と聞いていました。直線で外に出したらいい脚でしたが、武豊騎手の馬が前にいましたから、少しヒヤヒヤしました。とにかく先々が楽しみです。かからないので2000mは大丈夫。2400mは......がんばります。」と語り、管理する角居調教師は「嬉しいです。びっくりしています。勝手に前向きに走る馬なので、できるだけなだめるようにとジョッキーには言いました。ジョッキーも返し馬で感触をつかんでいただろうと思います。2戦目なので、変なクセがつかなければいいと思っていましたが、しっかり乗ってくれました。たくさん競馬をしてきた馬との戦いなので、どれだけ伸びるのかと見ていました。直線では交わせるかわかりませんでしたが、ミルコの名前を叫んでいました。お母さんからは前向きで、高い能力を受け継いでいます。今後は放牧に出して、馬の様子を見ながら考えたいと思います。母も兄もたくさんの方に応援してもらいました。この馬もこんなに早くタイトルをとるとは思いませんでした。乗り役の言うことをよくきく馬になってほしいです。」と喜んだ。

 


2015 朝日杯フューチュリティS

 

皐月賞の前哨戦となる、3月6日中山競馬場の第53回報知杯弥生賞に出走。昨年に続く対戦となった朝日杯2着のエアスピネル、自身と同じく2戦2勝で重賞初挑戦のマカヒキとともに3強の構図となったが単勝1.9倍の1番人気に支持された。前半から鞍上のM・デムーロが抑えるのに苦労し4番手を終始掛かり気味に追走。それでも直線を向いて力強く抜け出したものの、上がり3ハロンが34秒4のリオンディーズに対して上がり3ハロン33.6秒の2番人気マカヒキに差され、リオンディーズは弥生賞2着となった。主戦騎手のミルコ・デムーロは「ちょっと早く先頭に立ったので物見をした。でも、きょうの一番の問題は少し元気過ぎたこと。久しぶりで掛かった。瞬発力がなく、同じペースで走ってしまった。クリストフの馬は凄く楽。きょうはタイミングが悪かった。」と力負けではないことを強調した。 確かに、明らかにリズムの悪い立ち回りで勝ち馬との着差はわずかに首。鞍上も「次は良くなる。本番で頑張ろう!!」と本番での巻き返しを誓った。

4月17日はクラシック三冠第1戦、中山競馬場の第76回皐月賞に出走。同日9Rの同条件のレースでは完全に前残りの決着であったこともあり、8枠16番からスタートを決めるとそのまま先行、逃げるリスペクトアースの直後につけた。しかし向正面で強い向かい風の中1000m通過58.4、最終的には皐月賞レコードとなる速いペースでも抑えきれず先頭に立つ展開となり、直線粘るもののディーマジェスティの4位入線、さらに最後の直線で馬体を併せに行った際にエアスピネルの走行を妨害したことで5着へ降着となった。

5月29日はクラシック三冠第2戦、東京競馬場の第83回東京優駿に出走。ディーマジェスティ、サトノダイヤモンド、マカヒキと共に4強を形成し4番人気に支持された。レースはスタート後後方に下げるもやや折り合いを欠く展開となり、直線は後方からメンバー最速の上がりで追い込むも届かずマカヒキの5着。暴走気味に先行した皐月賞から一転。ミルコ・デムーロは後方待機策を選択したが、序盤はやはり折り合いに苦しんだ。それでも直線勝負に懸け、最後はメンバー中最速の3F33秒2の末脚で追い込んだが、上位陣の切れ味も強烈。前走に続いて掲示板を確保するのがやっとだった。鞍上は「掛かったね…。前走のスタートで出して行ったのが影響したのか、馬がゲートの中から怒っている感じだった。直線半ばでは勝ったと思った。それくらい最後は伸びている」と愛馬をかばった。角居師も「道中で頭を上げるシーンがあったし、自分のリズムで走れなかった。」と無念の表情。舌を縛る秘策も報われなかった。「今後は休ませたい。秋?現状では菊花賞は難しいでしょう」とポツリ。春は無冠で終え、秋に向け激しい気性の改善という課題を残す結果となった。

秋は神戸新聞杯に向けて調整が進められていたものの、浅屈腱炎を発症し休養で3歳シーズンを終えることとなった。その後、前浅屈腱繋部の不全断裂を確認。復帰は極めて困難と判断され、10月13日付で競走馬登録を抹消され、ブリーダーズスタリオンステーションで種牡馬入りした。